ここではティーチング・ポートフォリオについての簡単な紹介をしています.さらにご興味を持たれた方は,本サイトの「リソース・参考文献」をご覧下さい。これまでに書籍や参考になる文献,報告書,ウェブサイトなどの紹介をしています。
ティーチング・ポートフォリオは8-10ページの本文とその記述を裏づけるエビデンスから構成されます。
本文の項目は作成者の教育活動をもっともよく表現するために柔軟に選択することが可能ですが,基本的にどのティーチング・ポートフォリオにも含まれる5つの要素があります。
- 責務(何を行っているか)
- 理念(どのような考えに基づいて行っているか)
- 方法(その考えをどうやって実現しているか)
- 成果(その方法を行った結果,どうだったか)
- 目標(今後どうするか)
作成者の教育活動および教育業績はこれらの要素に基づいて整理され一貫性をもって記述されます.まず,教育の責務を明確にし,自らの教育活動として考えている範囲を定めます。そして,それらの教育活動について,「どのような考えあるいは哲学に基づいて行っているか」を理念として明らかにし,それを実際に具現化している方法を記述します。その方法を実行した結果として,どのような成果が得られているのかをまとめます。さらに,改善したい点や長期的な展望などを目標として定めます。
その他に,「教育改善に関する活動」「教育に関する報奨,受賞」「指導力向上のための取り組み」「専門分野における実力維持」など本人の教育活動の特徴や作成目的に応じた項目が加わります。
ティーチング・ポートフォリオの主要な特徴は次の4点です。
- 自己省察
- エビデンスによる裏付け
- 柔軟性
- 厳選された情報の集積
自己省察
ティーチング・ポートフォリオの作成過程において最も多くの時間を費やすのは自分を振り返ること(自己省察)に基づいた本文の執筆です。自分の教育についてしっかりと時間をかけて振り返るという作業において,自分自身に対する「気づき」を得ることは,ティーチング・ポートフォリオを作成する最大の価値といってもよいものです。
エビデンスによる裏付け
自己省察による記述の信頼性を保つため,ティーチング・ポートフォリオにはエビデンスとして種々の資料が添付されます。この仕組みにより実態にそぐわない記述が排除され,また,教育理念から成果までの一貫性を意識することができます。
柔軟性
基本的な構造はどのポートフォリオにも共通ですが,作成目的,学問領域,本人の志向によって柔軟に項目を選択することができます。このことが教員自身の主体性を保証します。
厳選された情報の集積
本文はA4版で8-10ページほどの分量です。ティーチング・ポートフォリオは教育業績に関する全記録や自叙伝ではなく,また,担当する授業科目数や教員経験年数の長短に関わらず一定です。直近の数年のハイライトに焦点をしぼって包括的な視点で作成することにより,本人を含めた読み手にとって必要十分な情報を提供することが可能となり,情報の有用性を高めます。この分量の制限は更新のしやすさにもつながります。